2016年01月31日

オニグンソウ『もののがたり(1)』

〈2016年漫画感想4冊目〉
オニグンソウ『もののがたり(3)』


 京都を舞台に人間と付喪神との関わりが描かれる『もののがたり』の第3巻です。ミラクルジャンプ誌からウルトラジャンプ誌への移籍を機に読むことにしました。物語としては人間と付喪神との絆,そして戦い,また人間同士の恋が描かれるということで盛りだくさん。特に独自の設定で描かれる付喪神の姿が興味深いです。特に主人公のひとりである長月ぼたんを護る6人の付喪神が婚礼調度というのが素敵。それぞれに個性的でありますが,中でも羽織と結が非常に良い。人間に非ざるものではありますけれども,その想いは人間と同じものでありましょう。また,ぼたんそのものに秘められた力は物語の主軸であるだけに今後も苦難に巻き込まれるのでありましょう。そのぼたんを如何に護るかが6人の付喪神“長月の婚礼調度”の使命であり,ぼたんを狙う付喪神を如何に倒すかがもうひとりの主人公である兵馬の目的となりましょう。ぼたんを狙う組織は現時点で既に付喪神集団“叢原火”,兵馬と同じく付喪神を祓う力を持つ塞眼京都守護“門守一派”,そして“長月の婚礼調度”と並ぶ京都三大付喪神“本庄の雅楽寮”が明かされています。如何なる戦いが展開されるのか,そしてぼたんと兵馬の行く末が楽しみであります。

 最新の3巻で描かれるのは門守一派を統べる門守大樹との戦いと叢原火の登場といったあたり。特に門守一派との戦いは見応えがありました。全般的に速度感が素晴らしい。かつて登場した薬研が姿を見せるのも嬉しいです。薬研の美人ぶりは羽織に匹敵するくらい。女性陣は誰もみな魅力的に思えます。それは門守大樹の娘である椿も同じこと。大樹との戦いでは傍観者に徹していましたが,彼女にも秘めたる想いがありそう。兵馬の双子の兄姉の仇である唐傘の付喪神を追っているということからも今後の物語で大きな役割を果たしそうです。兵馬と椿が追う唐傘の付喪神の正体も気になります。叢原火との関連性を疑うのは流石に早計かなあ。現時点で交戦中の刑具の付喪神も魅力的。一方で兵馬側は椿はともかく,残りは付喪神の結と煽,袿という5人組。特に煽と袿とは以前に戦った相手でもあり共闘が上手くいくかどうかに注目したいものです。軽薄な実力者という点で煽はかなり好みなのでこのまま兵馬の消極的な仲間としての位置に座って欲しいと思います。椿は大樹戦では全く見せなかったその実力を漸く明かしました。必ずしも所属する陣営が味方であるとは言い辛いものもありますが,かなり魅力的な人物なので敵対することがあって欲しくはありません。寧ろ,ぼたんの恋仇となりそうな気配も感じてしまいます。

 独特の設定に因る付喪神の戦いを描く作品ということ今後が楽しみです。互いを意識する兵馬とぼたんの初々しい様子も面白い。とは言え,やはり個人的には羽織と椿に尽きます。特に羽織の魅力は絶大なもの。長月の婚礼調度を事実上統べる形となっている彼女の力も注目したいもの。必ずしも戦闘要員というわけではないでしょうけれども,恐らくは怒らせると一番怖いように思います。何はともあれ,ぼたんに眠るマレビトの力を巡る戦いは始まったばかりです。この戦いの果てに如何なる帰結が待ち受けるのか大いに楽しみにしたいと思います。

(集英社 2015年)

posted by 森山樹 at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想
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