2015年12月10日

手代木史織『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝(14)』

〈2015年漫画感想36冊目〉
手代木史織『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝(14)』


 前聖戦の黄金聖闘士たちの活躍を描く『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝』の第14巻。前巻に引き続き牡羊座シオンを主人公とした物語が綴られます。後の教皇でありながら本篇ではいまいち影が薄かったシオンが活躍するのは嬉しい。尚且つ他の黄金聖闘士よりも分量が約五割増しという破格の扱いがたまりません。対峙する相手は本篇で強烈な印象を残した冥闘士のひとり天魁星メフィストフェレスの杳馬こと時の神カイロス。前半戦での牡羊座の黄金聖衣を獲得するまでの戦いも後半の聖戦後に再び襲来したカイロスとの最後の激闘も楽しかった。聖衣の声を聴くというシオンの能力が存分に生かされての戦いは燃えるものがあります。また,蟹座マニゴルドや牡牛座テネオなどの活躍が描かれるのもやはり嬉しい。特にテネオは師である牡牛座アルデバラン篇に続いての出演と優遇されている感があります。あのカイロスを一度は圧倒するだけの実力を身に着けていたのが印象的。テネオの物語ももっと読みたいものであります。

 天馬星座のテンマと戦女神アテナの化身サーシャの帰還を狙って,最後の戦いを挑むカイロスの悪辣ぶりが素敵。相変わらず,時の神としての能力を存分に発揮した超越的な戦い方を見せてくれます。それに対する牡牛座テネオがシオンのスターダストレヴォリューションを参考に編み出した必殺技プレアデスノヴァから師アルデバランから引き継いだタイタンズノヴァでカイロスを追い詰める姿がたまらなく格好いい。とは言え,悪辣なカイロスに対するにはテネオは真摯過ぎたように思います。テネオの後を受けてカイロスに向かうシオンが双子座アスプロスと同様の戦術を持って対するのも熱いです。このあたりは過去と未来を繋ぐ存在としてのシオンの位置付けを痛感させます。残念だったのはカイロスの物語は本篇で終わった方が綺麗に思えたこと。パルティータの膝で眠るカイロスの姿が印象的だっただけにこの復活が非常に蛇足に感じてしまいました。尤も,この妄執こそがカイロスに相応しいとも言えるのですけれども。また,この場に至ってもパルティータのことを口にするカイロスの姿も印象に残ります。悪辣な神と言えど,パルティータはやはり特別な存在であったのでありましょう。決して,テンマを引き込む為の方便であったとは思えません。そして,漸く収録されたユズリハの外伝「血墨の紋」も嬉しかった。同じくジャミールの一族の物語として今巻に収録されるのが相応しいように思います。魔星に堕ちた弟トクサの亡骸を抱えて号泣するユズリハの姿に切なさを感じました。ユズリハや耶人の物語も読む機会も望みたいものです。

 これで黄金聖闘士13人の物語は完結しました。これが最終巻と思いきや,次巻からは前聖戦の更に前の聖戦,即ちハクレイやセージの戦った聖戦が描かれるというのは嬉しい。牡羊座アヴニールや水瓶座クレストも同時代を生きている筈なので登場することを期待します。聖戦ということで敵が冥王ハーデス及び冥闘士というのは確定なのですが,如何なる物語となるのか全く予想が出来ないのが楽しい。セージもハクレイも大好きな人物なのでその活躍を大いに期待したいと思います。過去から未来へと続く女神アテナと聖闘士の歴史に新たな足跡が加わることが嬉しいです。1巻とは言わずに,複数の巻を跨ぐ,それなりに長い物語となることを期待します。
posted by 森山樹 at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想
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