2015年08月29日

こざき亜衣『あさひなぐ(16)』

〈2015年漫画感想16冊目〉
こざき亜衣『あさひなぐ(16)』


 薙の提案により始まった部内戦が描かれる『あさひなぐ』の第16巻。様々に交錯する人間関係が非常に興味深い。心が震える展開が続きます。特に二年生組の心の成長が著しくてたまりません。二ツ坂高校薙刀部は全部で9人ということで部内戦は36試合ということになりますが,因縁とも言える旭VS将子が最終戦に用意されているのが素敵です。他にも真春VS旭,えりVS薙といったあたりも見逃せないところ。薙の実力も漸く本領を発揮することになりました。その自信に相応しく,最終戦の結果を待たずして2位を確定させています。これからの二ツ坂高校になくてはならない戦力になるのでしょう。但し,折に触れて垣間見せる,心の闇が気がかり。闇というよりも,或いは心の弱さというべきなのかもしれません。一堂寧々とは異なった意味で部内を掻き乱す存在となりそうです。今後の鍵を握る存在であることに間違いはないでしょう。

 部内戦ではやはり真春と旭の対決が素晴らしかった。結果的には真春の完勝ということになりましたが,真春と試合が成立する程になったということ自体が旭の成長の証でありましょう。真春の追憶がどれも懐かしく,そして着実に旭が成長していることを感じさせます。旭は弱かったことなど一度もない,という真春の感慨は震えました。旭を最初から一番高く評価していたのが真春だったということを思い出します。そして,部内戦の契機となってしまったえりに部長を引き継ぐことを申し出たさくらの優しい性悪さもたまらなく美しい。旭や将子の成長の陰に隠れてはいますが,さくらの精神面での成長が素敵です。部内を強さではなく,広い視野の持ち主としてまとめて行くという存在は確かに必要ですし,さくらには適任でありましょう。責任感の強いえりが重荷のひとつをさくらに渡したことで如何なる変化を見せるのかも楽しみです。そして,自分の弱さを自覚し,それを踏まえた上で,相手を冷静に見られるようになった将子の成長も頼もしい。特に薙との対決では敗れはしましたが十分に見せ場を作ってくれました。実力的には二年生の3人の中でも最上位にあるだけに,この姿勢を貫ければ,再び主力のひとりとなることでしょう。或る意味では旭,さくら,将子の成長の契機となったのは薙だったのかもしれません。その薙が如何に成長を見せるのかも今後の楽しみとなります。

 波乱を生じさせた部内戦ですが結果的には丸く収まりそうな雰囲気が一安心。但し,薙を除けば,ということになりそうですが。いずれにせよ,これから始まるインターハイ予選は真春,旭,薙,将子,文乃を中心とすることになりそう。部長の座もえりからさくらに代わる筈なので部の体制も変化が生じることになります。一先ずは良い方向へと進んでくれることでありましょう。インターハイ予選で最大の障壁となる国領高校側も一堂寧々と寒河江さんとの関係が悪化しており,ともに内紛を抱えたままで戦いに臨むことになります。次巻からはインターハイ予選も開始する筈,楽しみです。
タグ:こざき亜衣
posted by 森山樹 at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想
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