2016年01月07日

ゆでたまご『キン肉マン(53)』

〈2016年漫画感想1冊目〉
ゆでたまご『キン肉マン(53)』


 キン肉族誕生の秘密が明かされる『キン肉マン』第53巻です。如何にも後付の設定ではあるのでしょうが,それを物ともしない無為な説得力が素晴らしい。悪魔六騎士篇で描かれた黄金のマスクと銀のマスクを此処まで帳尻を合わせてくれる力技には脱帽します。そして,それが面白いのですから言うことはありません。完璧無量大数軍最後の生き残りであるネメシスの正体がキン肉マンの祖父であるキン肉タツノリの弟という設定も明らかにされました。キン肉族の先祖が完璧超人始祖のひとりであるシルバーマンであり,そのシルバーマンは悪魔将軍ことゴールドマンの弟ということはキン肉マンと悪魔将軍にも僅かながら血縁関係があるということ。正義超人であるキン肉マン,悪魔超人を統べる悪魔将軍,そして完璧超人として生まれ変わったネメシスと完璧超人始祖を巡る戦いがキン肉族を中心とした戦いに移行していったのが面白いです。超人の歴史は即ちキン肉族の歴史ということ。この戦いが如何に帰結するのか楽しみでなりません。

 今巻で中心に描かれるのはネメシスとラーメンマンの死闘。ロビンマスクに続いてラーメンマンをも破るネメシスの強さは素晴らしいのですが,ラーメンマンの戦いぶりもやはり格好いい。ロビンマスクとともにネメシスに大きな影響を与えたように感じます。何よりも完璧超人を一度は目指したラーメンマンが超人オリンピックでキン肉マンに敗れたことで正義超人としての志に目覚めたというのが素敵であります。キン肉族に絶望することで完璧超人となったネメシスとキン肉マンに希望を見出して正義超人の要となったラーメンマンの対比も面白い。窮地に立たされたラーメンマンがモンゴルマンとしての姿を一瞬見せる場面は燃えるものがありました。それでもなお倒せないネメシスの強さもたまりません。そのネメシスに立場は違えど自分たちと同じものを見たキン肉マンとの戦いはいずれ行われる筈。その時が待ち遠しい。意味深なことを告げる委員長が何を知っているのかも興味深いところ。単にキン肉マンの大叔父というだけには留まらない謎をネメシスが秘めているようにも感じ取れます。また,敗れはしたもののラーメンマンがキン肉マンのものとは異なるというネメシスのマッスル・スパークにも謎が隠されています。このあたりはまだまだ一筋縄では行きそうにありません。続いて描かれるテリーマンとジャスティスマンの戦いも楽しみですが,現段階ではテリーマンには一分の勝機も見いだせないのも事実。此処から如何に反撃するか期待したいと思います。

 “許されざる世界樹”での戦いも半分が終わりました。残るはテリーマン対ジャスティスマンとブロッケンJr.対サイコマン。いずれも完璧超人始祖のほうが実力的には圧倒しているように感じます。戦力としては正義超人側がキン肉マンとウォーズマン,悪魔超人側が悪魔将軍にサンシャインとバッファローマン,完璧超人が超人閻魔ことザ・マンが健在といった状況になっています。此処から新たな戦力の投入ということも有り得ますけれども。特にキン肉族が中心に位置したことでキン肉アタルが関わってくることも予想されます。また,シルバーマンの参戦も十分に有り得そう。此処から如何なる驚天の真実が描かれるのか大いに期待したいと思います。

(集英社 2015年)

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posted by 森山樹 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想