2015年12月04日

こざき亜衣『あさひなぐ(17)』

〈2015年漫画感想35冊目〉
こざき亜衣『あさひなぐ(17)』


 青春薙刀部漫画の第17巻。前巻から引き続く二ツ坂高校薙刀部内での部内戦が全て完了し,インターハイ予選が開始されます。野上えりから紺野さくらに部長の座は引き継がれ,また団体戦の選手として愛知薙が加わることになりました。新体制となっての二ツ坂高校薙刀部の活躍が楽しみでなりません。但し,薙を巡る騒動はほぼ全く未解決のまま。これは今後に尾を引くことになるのでしょう。母の教え子である藤が丘高校の新田桂香への異常な対抗心が吉と出るのか凶と出るのかは微妙なところです。勿論,東京予選では一堂寧々ら國陵高校の存在感も大きい。旭や将子の成長,薙の加入と二ツ坂高校も戦力を高めていますが,寒河江さんの戦術の劇的な変化もあり,一堂寧々に的林つぐみを擁する國陵高校も更なる強さを身に着けています。二ツ坂高校,國陵高校,藤が丘高校が団体戦の覇権を争うことになりそうです。一方の個人戦も楽しみ。旭と寧々が割合に近い場所にいるので早期の再戦も期待出来るかもしれません。逆に戦う前にどちらか,というか旭が破れる可能性も高いとは思いますけれども。いずれにせよ,宮路真春たちとともに挑む最後の夏の大会ということで二ツ坂高校の躍進を楽しみにしたいと思います。内紛はあったけれど,それを力に変えることは出来ると思いますから。

 冒頭の旭と将子の激戦が非常に熱かった。疲労の極致にありながらも,結果的には旭が勝利を収めましたが,将子との禍根を残さない爽やかな決着が印象的でありました。このふたりはもう大丈夫。しかし,旭が薙と並んで,真春に次ぐ順位になるとは初期には到底思えませんでした。此処のところの著しい成長が目覚ましいです。そして,薙の2位も素晴らしい。性格に問題は抱えていますが,その実力の高さは証明されました。二ツ坂高校では異質な存在として孤立しつつある彼女が如何に溶け込んでいくかが今後の焦点となりそうです。一方で國陵高校ではつぐみの苦労性ぶりに磨きがかかっている気がします。孤高を厭わない寧々とそれを容認する寒河江さんの狭間で苦しむ彼女が大層魅力的。そして,寧々の一番の理解者が彼女を見捨てた筈の寒河江さんというのが皮肉ではあります。互いに協力することで相乗的に強くなる二ツ坂高校と対立することで生じる相克が原因で強くなる國陵高校の対比が面白い。いずれにせよ,東京予選の決勝はこのふたつの高校で争われることになるのでしょう。その時が楽しみであります。勿論,その前には新田桂香を擁し,薙の母が率いる藤が丘高校との戦いが控えているわけでありますけれども。この戦いで薙の問題に一定の決着がつくことを望みます。

 相変わらず,心震え展開の連続がたまりません。一見いい加減ながらも,きちんと大人として子供を導くやす子先生が大変魅力的。部内戦が終わった後の感慨が心に響きました。いい人だ。そして,インターハイ予選では久しぶりに寿慶が登場。もうひとりの大人げない大人として如何なる役割を果たすのか楽しみです。彼女の不吉な予言というか期待も興味深い。旭と夏之の恋の行方も気になりますが,やはり個人的には薙刀だけで十分に思えるのも事実。いずれにせよ,目標である真春とともに戦える最後の大会に旭が如何に臨むのか楽しみにしたいと思います。
タグ:こざき亜衣
posted by 森山樹 at 07:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想