2015年09月11日

九井諒子『ダンジョン飯(2)』

〈2015年漫画感想19冊目〉
九井諒子『ダンジョン飯(2)』


 迷宮を舞台に魔物の生態と食への活用を描く『ダンジョン飯』の第2巻です。妹ファリンを救う為のライオスらの冒険は漸く迷宮の地下4階に到達。新たな場所で登場する新たな魔物たちの生態が実に楽しい。マルシルやチルチャックといった仲間たちの背景が少しずつ明かされていくのも興味深いです。そして,ライオスの異常性が更に高まっているように思えるのは気のせいか。基本的には人のいい戦士ではあるのですが,その魔物への執着は理解し難いものがあります。とは言え,ケルピーの際に見せた意外な慎重さは評価したいところ。マルシルは前巻で見せたポンコツぶりが影を潜めているのはちょっと残念。一方でチルチャックは貴重なつっこみ役としての地位を確立した気がします。このあたりの仲間内での立ち位置は明確になってきました。迷宮の住人としてのセンシもいい味を出しています。

 今巻で登場する魔物はゴーレム,オーク,宝虫,死霊,生ける絵画,ミミック,ケルピーなど。流石にその全てを食べるわけではありません。個人的にはゴーレムの生ける畑としての活用方が大変お気に入り。この種の発想が本作の真骨頂と言えるのでありましょう。迷宮の住人として,活用出来るものは何でも活用するセンシの生活にも逞しさを感じます。また,死霊退治で用いた聖水を使ってのアイスクリームは面白かった。センシが作る聖水の割合に適当な作り方かも含めて大好きです。ファリンに対するライオスの失言を受けてのマルシルとチルチャックの冷たい視線も楽しかった。地下4階は地下湖が舞台ということで水棲の魔物が多く登場しそうな気配です。その先鋒として登場のケルピーに対するライオスの危惧が真っ当なものだったことが意外でした。単に哺乳類系の魔物よりもそれ以外の魔物に対する執着心の方が強いだけかもしれませんけれども。未だに人食い植物の栽培に固執しているとは思いませんでした。そのケルピーは食用ではなく,馬油を利用しての石鹸作りというのが楽しい。此処に至って初めてマルシルが積極的に魔物を活用するという意味でも興味深いお話でした。この世界での魔法の在り方の一端が示されるというのも面白かった。

 相変わらず,自由な発想による魔物の生態が楽しいです。迷宮自体の謎は未だに見えて来ませんが,「宮廷料理」で扱われた絵画はこの迷宮の成り立ちと深く関わってきそうな気がします。特に全ての絵に登場するダークエルフの存在が気になるところ。そもそもの今回の冒険の発端であるファリンを食べたドラゴンは地下5階に居た筈なので,最早そのひとつ上の階に至ったということになります。ファリンを救うこと自体はそれ程遠い未来ではなさそうかな。ファリンを救った後は狂乱の魔術師によって作り上げられたこの迷宮の謎を解き明かす為に更なる冒険を続けて欲しいと思います。ファリンは僧侶ということで,貴重な回復役として,継戦能力も向上しますしね。いずれにせよ,大好きな作品ですので,末永く続いて欲しいものです。魔物好きとしてはたまらないものがあります。
posted by 森山樹 at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想