2015年09月08日

長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー(4)』

〈2015年漫画感想18冊目〉
長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー(4)』


 ゴンドランドの市長選を前に巨悪が蠢動を始めた『ルドルフ・ターキー』の第4巻です。今巻は事実上ルドルフ一味の強化作戦に費やされているというのが面白い。次期市長を狙うベンジャミン・ベアとの対決が苛烈さを増していく中で老兵たちの悪辣な手法によって強化されていくルドルフたちの成長が楽しいです。もともとが強いルドルフたちが更に実力を増すというのは今後の展開に期待が持てます。代わりにラパン姐さんの出番が少なくなってしまうのは仕方がないところか。尤も,その分は番外篇的な掌篇と描き下ろしで補充することが出来ますけれども。但し,ベンジャミン・ベアがそこまでの大物には思えないのも事実。その背後には更なる暗躍を企む存在がいるように感じます。そのあたりはペイル・パイソンが示唆する様にミスター・ゴンドランドという名前に秘密が隠されているのでありましょう。

 ギル・ゴートやパラキートら老兵たちの魅力が素晴らしい。特にギル・ゴートの冷静な悪辣ぶりが格好いいです。修業を終えて帰ってきたルドルフ,エグマリヌ,モモコの爆睡を見て微笑む姿がたまらなく好き。その計り知れない実力も含めて,今後もルドルフ陣営の要となりそうであります。ルドルフを諌めることが出来る存在というのもそう多くはないですしね。ヴェオ,ルドルフ&ペイル,モモコ,エグマリヌとそれぞれが余儀なくされた強化策も楽しかった。特にペイルとルドルフのグランド・キャニオンふたり旅は秀逸。或る意味でルドルフという存在を一番理解しているのはペイルなのだということがよく分かります。痛いところを突かれて反発しながらも最終的には彼の言を受け入れるルドルフのペイルへの信頼も素敵。パラキートに見せたふたり揃っての凶悪な笑顔が最高でありました。ヴェオは相変わらず頭は悪いけれど,その真っ直ぐな気性が素晴らしい。子供たちに人気があるというのもよく分かります。ベンジャミン・ベアの手先によって支配されようとした街を救う為に彼が思いついた策がたまりません。これも或る意味でルドルフへの友愛の証と言えるのでしょうか。モモコとエグマリヌはヴェオやペイルとは異なり,ルドルフへの忠誠心が自らを高める原動力となります。このふたりが如何に自らを高めたのかは楽しみ。特にエグマリヌは更に射撃の腕を上げたようですし,心強い戦力となりそうです。

 次巻ではいよいよルドルフ一味がベンジャミン・ベアとの直接対決に臨むことになります。ベンジャミン・ベアはルドルフよりも若年ですが,その実力は未知数。性格の悪さはルドルフと対等にも思えますが,ルドルフのほうが遥かに好感が持てるというのは不思議であります。この差が何に由来するものなのか知りたいもの。敵地での戦いということで不利が予想されますが,この状態で修業の成果が発揮されることを期待しています。そして,やや近付いたようにも思えるルドルフとラパン姐さんの関係が如何なる方向へ進むのかも楽しみ。個人的にはモモコの想いが届いて欲しいとも思いますけれども。いずれにせよ,次巻は大きな動きがありそう。楽しみにしています。
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posted by 森山樹 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想