2015年08月26日

秋★枝『恋は光(3)』

〈2015年漫画感想15冊目〉
秋★枝『恋は光(3)』


 ひとりの冴えない男を巡る3人の女性の恋物語を描く『恋は光』の第3巻。西条と宿木さんがはっきりと別れたことで再び振り出しに戻った感があります。大学は夏休みに突入したことでそれぞれがひとりになる時間が増えた所為か思索に耽る場面が多いのは印象的。自問自答を繰り返しながら少しずつ変わりゆく関係が眩しいです。西条がいうところの我視可視恋愛光線は扱いの度合いはこれまでよりもやや低くなっています。この光が何に由来するものなのかはいつか明らかにされるのかな。個人的には謎のままでもいいような気がしますが。いずれにしても,試験はともかくとしてアルバイトや海遊びなど如何にも大学生らしい夏の過ごし方に懐かしさと羨ましさを感じます。自分にも確かに有った筈の時間だからこその想いでありましょうか。

 現時点では物語を牽引しているのは宿木さん。人の想い人を奪うことしかこれまでしていなかった彼女の西条への想いが変わりゆくのが切ない。西条から別れを告げられた後の逡巡が大変に可愛らしいです。そして,そこから再び西条への想いを断ち切らずに,改めて彼を振り向かせるべく動き始める宿木さんは完全に恋する乙女でありましょう。一方で西条と宿木さんが付き合い始めたことに衝撃を受けた東雲さんは,それでも特に変わることはなく。とは言え,明確な西条への好意を自覚したことで,少しずつ積極性を発揮しています。問題は宿木さんに誘われて行った海で男性といるところを西条に目撃されてしまったということ。これ自体は宿木さんの作戦というわけではないのですが,より自体が混迷する方向へ進んでしまった感があります。西条自体も北代さんとふたりで海に来たところを見られたわけですしね。この誤解は後々まで尾を引きそうな気がします。その北代さんは相変わらず不憫過ぎてたまらなく可愛い。西条だけではなく宿木さんの相談や愚痴の相手も務めるなど,面倒見のいい性格が素敵です。西条との関係が恋人・家族・友人のどれにも当てはまらなくてもいいと自分を納得させる場面は今巻で一番好きでした。なお,北代さんの眼鏡姿が大変好みなので,今後も是非この姿を増やして欲しいものです。

 西条を取り巻く三人の女性がいずれも魅力的過ぎます。全員が不器用過ぎるのがたまらない。尤も,一番不器用なのはその西条だったりもするのですけれども。積極的に場を搔き回す宿木さんと戸惑いながらも少しずつ自分の想いを真摯に捉える東雲さん,そして一歩引いた立場からその関係を寂しく眺める北代さんといった構図が切ないです。個人的には断然北代さん派なのですが,此処に来て宿木さんの魅力が加速度的に高まった気がします。いずれにせよ,海の一件を経て,四人の関係はやや波乱含みのものとなりそう。この微妙な四角関係の行く末が楽しみであります。
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posted by 森山樹 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想