〈2019年漫画感想111冊目〉
ゆでたまご『キン肉マン(69)』


満を持して登場のキン肉マンソルジャーが表紙となる『キン肉マン』第69巻です。
キン肉マンソルジャーことアタルの盛り上がった筋肉が格好いいです。
オメガ・ケンタウリの六鎗客との戦いもいよいよ最終盤となりました。
暫定的とは言え火事場のクソ力を得たオメガマン・アリステラが非常に脅威。
スーパー・フェニックス戦も苦戦はしたもののほぼ無傷での勝利となりました。
とは言え,スーパー・フェニックス自身も見せ場は十分だったのが嬉しい。
数少ない情報を基に今回の事件の深層を見通している感があります。
このあたりは流石に知性の神に選ばれた存在と言えるでしょう。
スーパー・フェニックスとアリステラの戦後の会話も大変良かった。
アリステラは敵役に違いはないのですが,悪役ではないのですよね。
このあたりが今まで登場した敵とはいささか異なる雰囲気を醸し出しています。
スーパー・フェニックスやキン肉マンを認める言動が多々あるのも素敵。
ザ・マンへの憎しみに心奪われていますが,本質的には高潔な存在かと思います。
そして,今度はマリキータマンと組んでのタッグマッチというのは熱い展開。
相手はキン肉マンソルジャーと彼が選んだブロッケンJr.。
やや意外にも,しかしながら当然にも思える組み合わせが素晴らしいです。
ブロッケンJr.を愚弄したことに率直に謝罪するアリステラも格好良かった。
勿論,想いをソルジャーに託したスーパー・フェニックスも素敵でありました。
このあたりの描写は本当にたまらないものがあります。
キン肉マンへの想いを明かすスーパー・フェニックスの姿も好きでしたね。
王位争奪篇での戦いで分かりあえたというのが明白となる名場面だと思います。
分かりあう為に戦うキン肉マンの姿勢の結晶のひとつの表れでありますね。
大魔王サタンの陰謀もそろそろ明かされるところでありましょうか。
残虐の神を始めとする邪悪五大神は少なくともサタンと対峙しているのでしょう。
このあたりの勢力図もいまいちまだ不明のままであります。
フルメタルジャケッツとオメガ・グロリアスとの戦いが最終戦となる筈。
その先の展開にも想いを馳せながら,先ずはこの戦いを堪能したいと思います。
ウルフマンやラーメンマンの想いを背負ったブロッケンJr.の活躍も期待します。
本当はスグルとアタルの真のマッスル・ブラザーズも見たかったのですけれどね。
この先に機会が与えられることを望みます。
(集英社 2019年)